間違った「歯の常識」が招く、むし歯だらけの日本人

日本は歯に関しては後進国

「むし歯や歯周病は本来、人間がかかる病気ではない」「歯並び・咬み合わせの異常(不正咬合)は遺伝ではない」「歯医者が指導しているむし歯予防法はウソばかり」なんて言ったら、皆さんはどう思われるでしょうか。ほとんどの方が面食らうかもしれませんが、これは本当のことです。

厚生労働省が6年に1回行なっている歯科疾患実態調査の平成8年版によれば、日本では3歳以上8歳未満において、8%もの人に治療済みも含め、何らかのむし歯があるそうです。

これは日本の歴史上、もっとも高いむし歯罹患率といえるでしょう。「むし歯だけではなく、8歳以上8歳未満の8%が何らかの歯周疾患や欠損歯を持っています。不正咬合の発現頻度も高く、2歳以上8歳未満で叢生(前歯の歯並びがガタガタになっていること)のある人は約4%もいます。

このように、日本人の口の中は歴史上もっとも病気だらけになっているのです。これは相当に異常なことだと思いますが、こうした異常事態を招いているのが、私たちが信じ込まされている「両の識」なのです。

この章では、皆さんが当たり前だと思っている「歯の常識」がどのくらい間違ったものであるのかを、心の例をあげて具体的に検証していきたいと思います。

歯磨きはむし歯を予防する|「歯の常識」の大間違い。

皆さんは毎日歯磨きをしていますか。日本人は真面目ですから、ほとんどの人が毎日歯磨きをしているようです。 前述の歯科疾患実態調査によれば、日本人の9割以上は毎日歯磨きをしており、7割以上は一日に2回以上歯磨きをするそうです。

「こんなにも勤勉に歯磨きをしているにもかかわらず、8%もの人にむし歯治療済み含む)があるという事実を冷静に考えれば、歯磨きによるむし歯予防効果に疑いの目が向けられるのが当然ではないでしょうか。 一生懸命毎日歯磨きされている方には残念なお知らせですが、歯磨きはむし歯を予防しません。

そもそもむし歯の好発部位、すなわちむし歯になりやすい部分は歯と歯の間(隣接面)や、奥歯の歯の溝(小窩裂溝)です。 しかしこれらの部位はそもそも歯ブラシの毛先が届きません。通常歯磨きでプラーク(歯垢)を除去できる部位は、もともとむし歯になりにくい部位なのです。

これは歯医者の間では常識です。 歯磨きできれいにできるところは通常むし歯になりにくい部分であり、また磨いてもきれいにできない部分にむし歯ができるのですから、皆さんの毎日の歯磨きがむし歯を予防していないことはもうおわかりでしょう。

そして残念なことに、歯磨きは歯周病の予防とも本質的には関係ありません。しかし歯周病になってしまった人にとっては、歯周病の治療や、治療後のメンテナンスにおいて歯磨きはとても大切な意味を持っています(歯周病に関しては、第4章で詳しく説明します)。

「私、むし歯になりやすいので、毎食後きちんと歯磨きしています」なんて方は、残念ながらまたむし歯に罹ってしまうでしょう。「歯磨きはむし歯を予防する」というのは、間違った「歯の常識」の最たるものなのです。

歯磨き以外にむし歯を予防する方法は、ちゃんと別にあります。むし歯はどうしてできるのか、また正しいむし歯の予防法とは何かについては、第3章以降で詳しく説明します

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